岩塩
岩塩(がんえん)は、地殻変動で海水が陸に閉じ込められ、長い年月をかけて結晶したもので、いわば、数億〜数千年前の“海の化石"です。
◆岩塩のできるまで
今から約40億年前に地球に出現した海には、はじめから塩分が含まれていたと考えられています。多くの岩塩ももとをたどれば海水でした。
海水が、地殻変動などで陸に閉じこめられると、塩水の湖(塩湖)ができます。雨が少ない地方であれば、水分が少しずつ蒸発して、塩湖(えんこ)の水はしだいに海水よりも濃い塩水になっていきます。
塩湖の蒸発・濃縮が進むと、塩が結晶しはじめます。さらに乾燥すると、水が全くなくなり、塩湖のあとには、一面に塩の結晶が残ります。
塩湖のあとに残った塩の堆積が地下に埋まると、圧力を受けながら長い年月をかけて岩塩層になります。岩塩層の近くには濃い塩水の地下水(地下かん水)が見られることもあります。
◆岩塩鉱山内部
イギリス(チェシャー地方)
産業革命後の18〜19世紀にかけて、イギリスが世界一の塩生産国であった当時の中心地が、チェシャー地方でした。
イギリス岩塩
イギリス岩塩鉱山内部
◆岩塩鉱山内部
ポーランド(ベリチカ)
ポーランドの古くからの塩の産地、ベリチカには、地下に大きな岩塩坑がある一方、使われなくなった岩塩坑内が、塩の宮殿になっています。壁の彫刻やシャンデリアもすべて岩塩です。
ポーランド岩塩鉱山内部
塩の宮殿(撮影:片平 孝)
ポーランド岩塩
◆サハラ砂漠の塩
マリ
マリ共和国、タウデニで採れた板状の岩塩は、ラクダのキャラバンでトンブクツーの街まで運ばれ、市場で売られます。
マリ岩塩と製塩用具
ラクダで運ばれたマリ岩塩(撮影:片平 孝)