喫煙具の発達
日本の喫煙風俗は、外来のものの模倣から始まり、しだいに日本風に変化して、ついには、海外に例を見ない独特なものとなっていきました。きせるの原型は、ヨーロッパのパイプや東南アジアの喫煙具を模倣したものと考えられ、はじめは長いものでした。また、竹や陶器で作られたものも見られます。きせる以外の喫煙具は、以前からある他の道具を利用しながら、しだいに形を整えていきました。たとえば、たばこ入れには古来からある火打ち袋などを、たばこ盆には香道具をのせたありあわせの盆などを、利用していたのです。
◆きせるの原型と考えられるヨーロッパのパイプ
- オランダ、ロッテルダム出土の金属製パイプ
- (1580年)
- ( 写真提供:Dr.Don Duco)
- オランダ、アムステルダム出土の金属製パイプ・ステム
- (1600〜1625年)
- アムステルダム市埋蔵資料センター所蔵(撮影:鈴木達也)
- by courtesy of the Archaelogical Department of the City of Amsterdam (bureau Monumenten & Archeologie)
◆竹製きせる
◆風俗画等を参考に想定復元した初期のたばこ盆
◆初期の河骨形(こうぼねがた)きせる
◆陶器(織部)のきせる
喫煙具の形が整うと、日本人はさらに美しさを求め続け、独特の喫煙文化が発達しました。それぞれの喫煙具は、使用する人の階層にふさわしいものに、さらに、時と場所によって使い分けられるようになりました。