北米先住民のパイプ
斧を象った銅製ボウルのトマホーク型パイプ
(北アメリカ 中部平原)
※こちらは常設しておりません。
パイプによるたばこの喫煙は、北アメリカ(現在のアメリカ合衆国)の先住民の間でも古い時代から行われていたようで、多くのパイプが遺物として残されていますが、それらの年代は正確にはわかっていません。
パイプの素材としては石が多く用いられ、その形態は部族によってさまざまですが、なかでもミシシッピ川流域を中心とする中部平原地域の部族に特徴的なパイプが、有名な「カルメット」あるいは「平和のパイプ」と呼ばれるパイプです。このパイプのボウル(たばこを詰めるパイプの先端部分)には、貴重なものとされていたカトリナイトという赤色の石が使われ、ステム(柄)は木製で、革や羽根で装飾されることもありました。
この「平和のパイプ」は、部族間にトラブルが起こった際、相手と戦うか和睦を結ぶかを選択する時に部族の意思決定のシンボルとして機能したり、あるいは和睦を結ぶ場合には、相手とこのパイプでたばこを回し飲み和睦の契りを結ぶなど、先住民文化の中で重要な役割を果たしていました。そのため、この地の開拓にやってきたヨーロッパ人は、伝統的なパイプに模したものを持ち込み、先住民の懐柔に利用しました。ボウルの部分が金属で斧の形をした「トマホーク」と呼ばれるパイプなどは、こうしたヨーロッパとの接触の中で生み出されました。