特別展Exhibition

過去の特別展

ミティラー美術館は、新潟県十日町市の雪深い森にある旧大池小学校の校舎を利用した私立の美術館です。同美術館は、インドのミティラー地方において母から娘へと3000年にわたって伝承されてきた壁画であるミティラー画をはじめ、インド先住民族ワルリー族が描くワルリー画やゴンド族の描くゴンド画、5000年以上の歴史を持つテラコッタ(素焼の陶器)などを数多く所蔵しています。また、インド人の描き手を招へいし、新たなアートの創造の場を提供しています。新しい作品を含めて、その量と質は世界に類がないものとインド政府からも高く評価されています。
たばこと塩の博物館では、これまでに5回、同美術館と共催で展覧会を開催してきました。2006年以来約15年ぶりとなる本展では、美しい自然の中にある美術館のゆったりとした時間の中で制作された作品を中心に、伝統的な手法を守りつつも、現地の生活環境では生まれることのなかった創造性豊かな作品約90点を紹介します。自然との共生の中で生まれた作品たちをお楽しみいただきます。

  • 上弦の月を喰べる獅子
    (1990年 26×32cm)
    ガンガー・デーヴィー

  • 馬とパーンシチラー神
    (1997年 91.5×180cm)
    バルー・ジブヤ・マーシェ

「ミティラー美術館コレクション展 インド コスモロジーアート
 自然と共生の世界」開催概要

主催
たばこと塩の博物館
会場
たばこと塩の博物館 2階特別展示室
開館時間
午前11時~午後5時
(入館締切は午後4時30分)
休館日
毎週月曜日(ただし、5/3は開館)、5月6日(木)
入館料
一般・大学生 100円
小・中・高校生 50円
満65歳以上の方 50円 ※年齢がわかるものをお持ちください。
※障がい者の方は障がい者手帳などのご提示で付き添いの方1名まで無料。
※なるべく少人数でのご来場をお願いします。

※ご来館の際は、当館の  〈新型コロナウイルスに関連した対応について(2021.1.25)〉もご覧ください。
※新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては、開館時間の変更や臨時休館をさせていただく場合があります。最新の開館状況等は、公式ツイッター、お電話、当ホームページ等でご確認ください。

展示関連イベント

※新型コロナウイルスの感染状況によっては、講演会を中止させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

展示関連講演会
4月24日(土)
「インド民俗画の伝統と未来」
長谷川時夫(ミティラー美術館館長)
  • ※午後2時から、3階視聴覚ホールで開催。
  • 往復ハガキによる事前申込制で、定員は先着30名。応募ハガキは、3月22日(月)必着、応募多数の場合は抽選となります。参加には、入館料(一般・大学生100円/満65歳以上・小中高校生50円が必要です(満65歳以上は要証明書)。

■申し込み方法
参加申込の受付は終了しました。多数のお申し込み、ありがとうございました。 往復ハガキの往信面に、①住所 ②氏名(ふりがな)・年齢 ③電話番号を明記し、返信宛先面に④郵便番号・住所 ⑤氏名をご記入のうえ、下記までご応募ください。1通につき1名のご応募とします。

締め切り 2021年3月22日(月)必着

往復ハガキ

宛先
〒130-0003 東京都墨田区横川1-16-3
「たばこと塩の博物館 講演会係」宛

  • ※結果は返信用ハガキでお知らせします。
  • ※往復ハガキご記入の際には消すことのできるボールペンはご使用にならないでください。

展示作品とミティラー美術館の紹介

ミティラー画

ブッダやマハーヴィーラ(ジャイナ教の始祖)などの宗教家が生まれ、叙情詩ラーマーヤナの舞台としても知られるインド東北部に位置するミティラー地方。この地域で3000年にわたり、女性たちは家族の幸せや豊穣などを祈って、家の土壁に線描画を描いてきました。母から娘へと伝承されるこの壁画では、竹の棒を筆にし、木の実や植物の汁など身近にある画材を使って、自然神やヒンドゥー教の神々の神話が描かれます。この地域にはまた、儀式の際に神々を招来するため、牛糞と粘土で塗られた大地に、米をすり潰した白い汁液で描くアリパン(床画)というものもあります。壁や大地に描かれていたこれらの伝統的な絵画は、1967年以降の現地の女性たちの自立と独立の美術運動を通して紙に描かれるようになり、ミティラー画として欧米諸国でその芸術性が高く評価され、広まっていきました。

  • スーリヤムッキーの木(1989年 281×190.5cm)
    ガンガー・デーヴィー
    インドを代表するアーティストで、ミティラー画の第一人者として高く評価されるガンガー ・デーヴィーの作品。完成を前に亡くなったため未完ですが、彼女の最高傑作といえます。

  • チャクラ(1990年 190×190cm)
    ゴーダーワリー・ダッタ
    ヒンドゥー教の神ヴィシュヌ神が、指先に持つ土星の輪のような武器の名前をチャクラといいます。本作は、作者であるゴーダーワリー・ダッタの日本滞在が契機となって生まれました。

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ワルリー画

ワルリー族は、インド西部のマハーラーシュトラ州ターネー県に居住する先住民族で、主に農耕で生計を立てていますが、季節によって漁労に携わる人もいます。万物を育む女神、祖先、精霊、自然神を崇拝しています。ワルリーの人々は、米をすり潰して水と混ぜただけの真っ白な絵の具と竹を削った筆を用いて、婚礼の儀式が行われる部屋の壁面に赤土を塗り、儀礼画を描いてきました。1970年代初頭からは、経済支援の目的で政府によって配られた紙に、ワルリー族の神話や民話、生活などを描くようになりました。

  • 村の結婚式(1994年  179×284cm)
    ジヴヤ・ソーマ・マーシェ
    村全体と自然との関わりの中で行われる結婚式の始終を一枚に描いています。作者であるジヴヤ・ソーマ・マーシェは、ワルリー族の多くの伝統と知識を身につけ、世界各地での公開制作の経験でも揺らぐことなく、「森に住む生活」を生きていました。

  • カンサーリー女神(豊穣の女神)(2004年 140×305cm)
    シャンタラーム・ゴルカナ
    貧しいけれど心優しい男に豊穣の女神が米を与える様子を描いています。シャンタラーム・ゴルカナの作品は日本でも高い評価を得ています。

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ゴンド画

インド中央部マディヤ・プラデーシュ州一帯に居住するゴンド族は、インドの500にもおよぶ民族集団の中でも最大の先住民部族です。独自の自然信仰を持つこの民族が、祈りの気持ちを表すため、村の儀礼や祭りの際に家の床や土壁に描いていた絵が原点とされます。ジャンガル・シン・シュヤム(1960〜2001)は、ゴンドの森に住む生き物、神々、伝説などを独自のスタイルで描き、民族アートの枠を超えたゴンド画を確立しました。

  • 飛行機(1999年 98×160cm)
    ジャンガル・シン・シュヤム
    初来日したジャンガル・シン・シュヤムがミティラー美術館の応接室の壁に描いた飛行機を元に、擬似壁に描きなおした作品。

  • 虎(1999年 95×157cm)
    ジャンガル・シン・シュヤム
    日本で描いた作品。虎を描いた作品は他にも数点あり、彼の中では重要なモチーフだったようです。

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テラコッタ

インドには、5000年以上に及ぶテラコッタ(素焼の陶器)制作の伝統があります。母なる大地は様々な形で崇拝されており、その大地から採った粘土で作られるテラコッタもまた、現地の人々に生き物のように扱われたり、守り神のように思われたりしています。ミティラー美術館では、1989年にインド政府から寄贈された109点の作品群のほか、日本の土と稲藁を使った現地にはない新たな作品も所蔵しています。

  • 壺(1998年)
    ニラマニ・デーヴィー

  • 自動車(2005年)
    ララ・パンディット

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ミティラー美術館

1982年に設立された、新潟県十日町市の森にある旧大池小学校の校舎を利用した私立の美術館です。ミティラー画、ワルリー画、ゴンド画、テラコッタなどを所蔵し、常設公開しています。さらに、インドからアーティストを招へいし、現地とは異なる環境での制作活動の場を提供したことで、新たな表現も生まれました。
世界に散逸していくこれらの作品を一堂に集めることを目的になされたコレクションは、インド政府からも、その質と量において世界に類がないと高く評価されています。
2004年の新潟県中越大震災では建物、作品に甚大な被害を受け、2年近くの休館を余儀なくされましたが、2006年に再オープンを果たし、来年2022年には開館40周年を迎えます。

  • ミティラー美術館

  • ミティラー美術館所蔵作品の数々

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