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たば塩スタッフが近況やさまざまな活動について、最新情報をお届けします。

「収蔵庫の清掃と収蔵資料の整理を行っています!」2013.12.26

暮れもさし迫ってまいりましたが、みなさまお変わりありませんか?

休館中のため、11月中〜下旬恒例の催し「版画教室」もなく、毎年12月に入るとエントランスホールでみなさまをお迎えしていたクリスマスツリーを飾ることもなく、ここまできました。今年はどうも、季節の感覚が薄いなと思ったとき、実は、これらの行事が、私たち職員に季節の節目を知らせていたのだと気づいた今日この頃です。

休館して3ヶ月が経ち、いよいよ新館に関係する打ち合せも活発になってきました。たばこと塩の常設展など、神南博物館よりも、より充実させるべく、担当学芸員も打ち合せに熱が入っています。

さて、今回は、収蔵資料に関わるお話です。

新館への引っ越しに備え、常設展示室の資料の撤去・クリーニングを行ったことは、第1回のブログでも触れました。ここでは、この3ヶ月間、学芸員をはじめ、広報担当の私も含む学芸職員で取り組んできた収蔵庫の清掃と収蔵資料の整理についてご紹介します。

当館の所蔵資料が約4万点に迫ろうかということは、神南博物館最後の展覧会「たばこと塩の博物館物語」展でもご紹介しました。

常設展では、そのごく一部をご紹介しているわけですが、常設展示していない資料はといえば、そのほとんどを収蔵庫で保管しています(図書資料は図書室で保管)。開館中、学芸員は調査研究に加え、担当する企画・特別展の準備が仕事のかなりの部分を占めます。これらに加え、来館されたお客さま、マスコミからの問い合わせなどの対応もあります。もちろん、資料整理は学芸員にとって非常に大切な業務のひとつですが、日々向き合う仕事のなかで、なかなかまとまった時間をとっての作業が難しいのもまた事実です。

この休館中、とりわけ新館関係の打ち合せが本格化していない時期は、資料整理と清掃のチャンスでもありました。そこで、移転の下準備も兼ねて、この3ヶ月間はほとんど毎日、午後の2時間程度を使って、資料のクリーニング、収蔵庫の清掃、再配架などを行ってきました。

博物館の向かいから、パルコ方面に向かって。

たば塩の収蔵庫。
ウェブでのご紹介は初めてです。

清掃後の収蔵庫。3ヶ月の努力の成果。収まるべきところに資料が収まり、通路も広々。床もキャビネットもきれいになって、職員一同心も軽やか。
清掃後の収蔵庫。3ヶ月の努力の成果。収まるべきところに資料が収まり、通路も広々。床もキャビネットもきれいになって、職員一同心も軽やか。

清掃後の収蔵庫。3ヶ月の努力の成果。収まるべきところに資料が収まり、通路も広々。床もキャビネットもきれいになって、職員一同心も軽やか。

特別展示室と言えば、開館時には企画・特別展を開催していた部屋です。ご自分のお気に入りの展覧会とともに、部屋の景色を思い浮かべてくださる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

その部屋が、今は別の用途で働いています。クリーニングを済ませた資料の一部は、新館への移動や収蔵作業をスムーズに進められるように、元の収蔵庫には戻さず、特別展示室や常設展示室に仮配置しているのです。

特別展での仮配置をご紹介しましょう。収蔵スペースを生かすためにも、看板はウォールケース内の壁にかけましたが、遠目にみると、まるで展覧会をやっているようです。

「看板展」開催中?

「看板展」開催中?


なーんて!引いてみると、ウォールケースの中の壁も仮配置に使っているだけだとお分かりいただけます。

なーんて!
引いてみると、ウォールケースの中の壁も仮配置に使っているだけだとお分かりいただけます。

さて、みなさまの当館のイメージはどんなものでしょう?

企画・特別展のイメージが当館のイメージに直結している方も少なくないように思います。「浮世絵」「たばこ盆」「たばこ入れ」「灰皿」「ポスター」etc…を展示、所蔵する博物館。そのような方の中にも、なかなかたば塩に民具のイメージを持つ方は少ないかもしれません。

しかしながら、実は、たばこの製造に関わる資料、製塩道具など、民具の範疇に入るような資料もたくさん所蔵しているのです。そういう私も、今回の収蔵庫清掃では新たに気づくことが本当に多く、「こんな資料も所蔵していたのか!」の連続で、改めて、当館の奥行きの広さを感じました。

手前の車輪は、たばこ荷車の車輪です。奥の箱は、たばこ製品を入れる箱です。
手前左の箱は、たばこ小売りの担い箱。隣の背の高い筒状のものは、羅宇屋の釜。奥の桶の右隣にある木製のものは、伊勢神宮の塩田の沼井の一部。

左:手前の車輪は、たばこ荷車の車輪です。奥の箱は、たばこ製品を入れる箱です。
右:手前左の箱は、たばこ小売りの担い箱。隣の背の高い筒状のものは、羅宇屋 (※1)の釜。奥の桶の右隣にある木製のものは、伊勢神宮の塩田の沼井(※2)の一部。実にさまざまな民具たち…。魅力的です。

※1 羅宇屋(らうや): きせるの掃除や、管の部分である羅宇(中間部分)のすげ替えをする職人
※2 沼井(ぬい): 塩浜でできた塩まじりの砂に海水をかけて、濃縮海水を得るための溶出装置

ひとつひとつの資料に由来があり、意味がある。手に取って、その重みを感じながらの作業が続きます。

さて、こちらの写真。衝立、俵、桶、薄紙に覆われた人物らしきもの…。

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ピンときた方もいらっしゃるかもしれません。

そう、これは、開館時に人気だった「江戸時代のたばこ屋」の再現にまつわる資料たちです。新館では、どのような装いで展示されるでしょう。楽しみになさってください。

「江戸時代のたばこ屋さん」

神南博物館常設展示室でみなさまをお迎えしていた「江戸時代のたばこ屋さん」。職員の間では、この3人に名前がついていて、愛情を込めてその名を呼びます。このお話は機会があれば、また別の機会に。

4階特別展示室を引きで撮影しました。この入口からの景色、懐かしく思ってくださる方も多いのでは?

4階特別展示室入口

公園通りは、年の瀬だからということもなく、相変わらずにぎわっていますが、そのときそのときで表情が違っていることに、今更ながら気づいています。いい通りだなと。

9月2日から休館させていただいたので、直接お客さまと接する機会のないまま迎える年末です。この場を借りて、今年も大変お世話になり、ありがとうございました。たくさんの方にいらしていただき、温かいお言葉、時に厳しいご意見をいただいたこと、本当にうれしく、ありがたく思っております。休館中、ご不便をおかけしますが、職員一同、新館に向けてがんばっているところですので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

今年の冬は寒くなりそうです。お身体には気をつけて、みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。(Y・H)