館蔵浮世絵に見る さくらいろいろ
人々が刻みたばこを吸っていた時代には、きせるやたばこ入れ、たばこ盆などの喫煙具は、ごく身近な道具でした。これらは飾って鑑賞するものではなく、あくまでも日用品であるものの、自分の好みやセンスを表現するものとして、デザインや素材、細工にこだわって誂えたものも少なくありません。特に、花は男性用女性用問わず喫煙具にデザインされ、中でも桜は多く使われています。また、たばこのパッケージにも桜が描かれているものは少なくありません。
- 葛飾北斎画『今様櫛雛形』
- 葛飾北斎が描いた櫛ときせる()のデザイン本。櫛にもきせるにも、桜をデザインしたものがあることがわかる。
- 桜の前金具の腰差したばこ入れ
- 袋の留め具である前金具に桜の花とつぼみがデザインされている。
- 桜蒔絵のたばこ盆
- 全面に桜の模様の蒔絵を配した豪華なたばこ盆。
たばこの民営時代に製造された「花月」「山櫻」や、明治37年(1904)の専売制施行後に作られた「CHERRY」「山桜」のパッケージにも桜のモチーフがデザインされている。