遊牧民の塩入袋/ブロイ族の塩入袋
遊牧民にとって、塩は、単に食用としてだけでなく、家畜の群れのコントロールなど、生活上欠かすことのできない重要な役割を担っています。塩は、生理的に塩欲求の強い草食動物の習性を利用して、家畜の群れのコントロールもできるのです。中でも、イラン・アフガニスタン・パキスタンにかけての西アジア地域に展開するクルド族やバルーチ族をはじめとした遊牧民は、伝統的に、各部族を象徴する紋様を織り込んだ羊毛織の塩入袋(ナマクダーン)を使用してきました。人間が使う塩もこれらの塩入袋に入れて保管・運搬することで家畜に舐められないように、袋の口を小さくした凸字形をしているのが特徴です。当館では12点の塩入袋を収蔵しています。