
歌川広重画「東海道五拾三次之内 御油」

絵師 | : | 歌川広重 |
名称 | : | 東海道五拾三次之内 御油 |
時代 | : | 天保4年(1833)頃 |
形状 | : | 大判錦絵横 |
版元 | : | 竹内孫八版 |
※こちらは常設しておりません。
歌川広重の保永堂版「東海道五拾三次」は、数ある浮世絵版画の中でも、最も知名度の高いシリーズでしょう。その中でも、この御油(ごゆ)は、画中の副題に「旅人留女(たびびととめおんな)」とあるように、宿場で旅人を奪い合う宿の女と、その渦中で難儀する旅人がユーモラスに描かれています。構図は、中央奥に宿場はずれを描くことで遠近(奥行)を表現し、上部の黒い一文字ぼかしから、次第に暮れていく様子を見せています。
この作品で注目すべきは、右側の宿の壁に下がる講中札(現在の団体指定の表示のようなもの)を利用して、この作品制作に関係した絵師や彫師(ほりし)・摺師(すりし)・版元などの名前を表示していることです。幕末頃には、画中に彫師・摺師の名前が記されることがありますが、このシリーズの頃は、そのような例は少なく、浮世絵制作の背景資料として重要視されています。