たばこと塩あれこれVarious topics of tobacco and salt

ミュージアムコレクション

塩

塩づくりを描いた絵画/『汐くみ』

当館で所蔵している製塩関係の絵画としては、風俗図屏風や浮世絵、版本などがあります。塩は古くから和歌や謡曲、歌舞伎などの題材としても取り上げられてきたため、それらにちなんだ絵画も多く、必ずしも全ての作品が製塩技術史の研究資料として参考になるわけではありません。また、絵画の世界においても、製塩は、海辺の風景として様式化されており、他の作品の模倣など、実地に取材せずに描いたと考えられる作品が多く残されています。しかし、中には、細部まで描き込まれた写実的な作品もあり、それらは製塩技術研究の参考となる、貴重な歴史資料となっています。

汐くみ
『汐くみ』
作者歌川広重
形態大判錦絵横
時代天保[1830-1844]頃

※こちらは常設しておりません。

海岸の風景の中に、製塩のために汐くみをする人物を描いた写実的な作品にも見えますが、奥の釜屋と思われる建物の中に平安貴族らしい人物(在原行平)の姿があり、謡曲や歌舞伎舞踊の「松風・村雨」の物語を題材に描いた作品だと考えられます。他にも「松風・村雨」にちなんだ絵画は数多く描かれており、中には明確に歌舞伎の舞台姿を描いた作品もあります。