
採かんの発達/塩浜「能登の揚浜」(中世〜現在)
揚浜(あげはま)系の塩浜は、原料の海水を人力で塩浜まで運び上げる方式で、潮の干満差が小さい日本海側と、太平洋側の外海に面した波の荒い海岸に見られました。揚浜の多くは、自然のままの海辺の砂浜を利用するものでした。しかし、海岸に砂浜がない能登半島では、海面より一段高い場所に、粘土で人工の地盤を築いた「塗浜(ぬりはま)」と呼ばれる塩浜が発達しました。
◆揚浜の分布

自然浜
塗浜
◆能登の製塩工程
能登半島の珠洲市では、現在でも、石川県の無形文化財として、揚浜による塩づくりが存続しています。(昭和53年撮影)
(1)塩浜に海水をくみ揚げます。

(2)くみ揚げた海水を塩浜にまきます。
(3)砂を集めて海水をかけ、濃い塩水(かん水)を採ります。
(4)鉄の釜で煮つめて塩を結晶させます。

◆能登の揚浜で使われた鉄釜
昭和初期から昭和58年(1983) まで約60年間使われました。
・直 径 | : | 180cm |
・深 さ | : | 30cm |
・重 さ | : | 約160kg |