現在の製塩
現在の製塩法も、海水を原料とし、「採かん」と「せんごう(煎熬)」という二つの工程を必要とすることでは、藻塩焼き(もしおやき)や製塩土器の時代と変わりません。しかし、イオン交換膜法による「採かん」と真空式蒸発缶による「せんごう」を組み合わせた現在の製塩法は、経済的に能率よく優れた品質の塩を生産・供給できるよう工夫されている点で、これまで日本人が長年培ってきた、塩づくりに対する英知を結集させた究極の進化形といえるでしょう。
現在の製塩工場の模型
現在の製塩工場では、まず、ボイラーで真空式蒸発缶の1号缶を加熱するための水蒸気(2気圧、120℃)をつくりますが、できた水蒸気は、真空式蒸発缶の加熱だけでなく、真空式蒸発缶に送る途中のタービン発電機で発電にも利用され、イオン交換膜法で使われる電気や工場内の他施設で使う電気を生み出す役目もになっています。つまり、1号缶を加熱する分の燃料だけで、工場全体が動くように、ぎりぎりまで効率化されているのです。
◆現在の製塩工場
※輸入天日塩(てんぴえん)を再製加工した塩、かつての流下式塩田の枝条架(しじょうか)と同じ原理で採かんし平釜で結晶させた塩、水分がなくなるまで脱水せず意図的ににがりを残した塩など、これ以外の方法で生産される塩もあります。